土星
土星は、ルネサンス期までの占星術で、「悪魔」のような扱いでした。
この世のネガティブを全て引き受ける星でした。
それと同時に、星の中で最も哲学者たちに議論された星だと言って良いでしょう。
特に古代以降中世まで、土星が「悪魔」だったのは、
ルネサンス期以降、少し見直されたと言えます。
肯定的な要素も少し入ってきました。
それは「鍛錬」とか「大器晩成」とかの意味です。
ルネサンス期の哲学者マルシリオ・フィチーノは
学者にとっては土星は最も重要な星であると言いました。
それはともかく、土星の原理についてはいろいろ思うことがあり、
ひとことで言い切ることはほぼ不可能だと言っていいでしょう。
しかも学者の星である以上、この表面的にも内面的にも奥深い星を噛み砕いて
形にするには、ある程度の期日が必要となります。
しかし土星について最も思うことは、アスペクトにもよりますが
土星をいま最も言いあらわせるのは「アンチ」という言葉ではないかと思います。
この概念は、土星の意味をよく表しています。
ミュージシャンでも、芸能人でも、ゲームでも漫画でもなんでもいいですが
そういうものには、ファンとアンチがつきます。
そこで、アンチというものは、基本的に相手を非難し価値を下げますが、
同時に、よく言われるのは
「ファンよりアンチのほうが相手のことを何でも知っている」
ということです。
これがすごく土星的だと思うのです。
アンチは敵対者ですが、同時に相手のことをファンよりも知っていて、
それは自然と相手のことを一番学んでいることになります。
最近あんまり言われなくなりましたが、ツンデレってやつですね。
好きの正反対は嫌いではなく無関心というのもよく言いますね。
それこそアンチは敵対者を装ってはいますが、相手に対する関心はファン以上です。
フィチーノが、土星は学者の最も重要な星である、と言ったのは
土星の力で、アンチだけれど相手に対する情報を最も深く収集できるからでしょう。
アンチであることと、それゆえの相手に対する最も強い関心が土星の核心です。
アンチ(=嫌い)が無関心になったとき、土星の力も終わります。
特定の何かに対する愚痴や文句ばかり言っている人は、
むしろそれに対して好きの正反対にいるどころか、
誰よりもそれに強く惹かれてるとすら言えます。
褒め称える人よりも縁が強いと言えます。
土星のアスペクトがハードだと、特に強いアンチになるでしょう。
そしてアスペクトがソフトだと、ファンになったりアンチになったりするでしょう。
土星の星座やハウスの位置は、何のアンチになるかです。
0コメント