マントラ

 mathematicsという言葉はいま、日本語で「数学」として訳されている。でもギリシア語的に、mathematicsは数学とはまた違ったものを表す言葉になる。数はギリシア語でarithmosで学はlogiaなので、数学と直訳したかったらarithmologyが忠実ではある。いまarithmologyと入れると、近代ドイツの象徴学者アタナシウス・キルヒャーの著作はでてくる。

 とはいえ、philosophyをギリシア語に忠実に直訳すると愛知県になってしまうし、physicsはもともと「自然」という意味なので、直訳すると自然学になってしまう。例えば、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの『フィジカ(physica)』は物理学っぽい名前でも別に力学の計算式がいっぱい乗っているわけではない。ヒルデガルトの『フィジカ』の各章タイトルを見て見ると、「魚について」「木について」「動物について」「爬虫類について」、などなど。つまり自然学である。


 mathematicsという言葉は、mathemaという言葉に過去完了または受動的な意味が入るta(ti)と名詞化的なka(cs)がついたようなものだ。このmathemaという言葉は、学び、思考、弟子、などの意味を持つ。

 mathemaは、印欧祖語のmen「考える、精神」に起源する。この言葉は…古今東西、物凄くたくさん派生がある。サンスクリットの√man, manas「考える、心」より、-tra「離れる」を入れると、mantra「マントラ、思考から離れること」、そしてギリシア語ではmantike「占い」、mimesis「模倣」、metron「尺度」、mania「狂気」、mnemosyne「記憶」、ラテン語でmensis「精神」、mensa「メンサ、机」、英語でこのmenを起源とする言葉の多いこと。mind, mental, mimic, comment, memory, mathematicaという数学は主に、「思考・予測・尺度」の意味が強いという点で、語源的にはそれを本質とすることになる。

ᚠᛚᚪᚵᛋ ᚠᛚᚪᛪ ᚠᛟᛞᛞᛖᚱ ᚠᚱᛁᚵ

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