昨日の世界
16歳の頃によく聴いていた曲を思い出した。自殺や死に関する歌。
音楽とは妙なもので、そこに自分が感じているのと同じ気持ちが書いてあると、たいそう気に入ってしまうものだ。なんとなくこの曲の歌詞のような気持ちをずっと感じてきた10代。
でもそんな日々も通り過ぎてしまった。今思うと、それは面白いことだと思った。人は死ぬ時に、人生を一気に振り返るという話もある。そうなったら、「今」と「当時」のギャップは、なかなか凄いものだ。一体どれくらいの人が、これほどのギャップを体験するのだろうか?
あの時に自分が持っていたこの曲のような「気持ち」が、今の自分の「気持ち」に繋がっているように、今の自分の「気持ち」も、まだ見ぬ未来の自分の「気持ち」に繋がっているのか。
時間というものが、私の視交叉上核にある時計遺伝子が見せる幻想だとしても…。
今はこの曲の歌詞の気持ちを、客観的に見ることができる。それはつまり、この曲と「同じ気持ち」だったあの時と、今は「違う人間」だということかもしれない。そんな「違う人間」でも、かつての自分を思い出すことは簡単にできる。
あの頃から、随分変わったな、ってことと、あの頃から、何にも変わってないな、ってこととがある。
思ったより達成できたことと、思ったより達成できていないこと、予想通りだったこともあれば、予想の斜め上みたいな未来がやってきた。この頃から、一番達成したかったことはまだ達成していない。この年になってもまだ、それが達成していないと、もし当時知ってしまったものなら、私はこの歳まで生きたいとも思わなかったかもしれない。
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